日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
朝鮮プロレタリア芸術同盟
ちょうせんぷろれたりあげいじゅつどうめい
Korea Artista Proleta Federacio エスペラント
略称カップ(KAPF)。無産階級のために文化をもって戦うとする焔群(えんぐん)社と、芸術のための芸術を排し人生のための芸術を建設せんとするパスキュラの二団体を母体に、他の進歩的文学者を結集し1925年8月結成された。李箕永(りきえい)、韓雪野(かんせつや)、林和(りんわ)らが中心人物といえる。傘下に文学、演劇、美術、音楽(のち映画も)の四専門部を設置し、十余の国内支部と、東京、間島の国外支部をもった。27年再編成時の綱領では「無産階級運動の一部門である無産階級芸術運動として、(1)封建的および資本主義的観念の徹底的排撃、(2)専制的勢力との抗争、(3)意識層造成運動の遂行を期す」と明確な方針を定めた。31年、34年と二度の大量検挙を受け、35年に解散せざるをえなくなったが、プロレタリア文学運動の核として日本の支配に激しく抵抗し、一時は文学界を圧倒するほどの力をもった。
[大村益夫]