改訂新版 世界大百科事典 「韓雪野」の意味・わかりやすい解説
韓雪野 (かんせつや)
Han Sǒr-ya
生没年:1900-76
朝鮮の作家。咸鏡南道咸興の生れ。咸興高等普通学校卒業後日本大学で学ぶ。帰国後1925年カップ(朝鮮プロレタリア芸術同盟)創建に参加,このころから作品活動を始め,李箕永(りきえい)と並んでプロレタリア作家の双璧と称される。34年カップの一斉検挙で投獄,36年出獄後最初の長編《黄昏》を書いた。解放後は北朝鮮で文学芸術同盟中央委員会委員長,教育文化相(大臣),朝鮮労働党中央委員,作家同盟中央委員会委員長等を歴任,要職にありながら作品活動を続けていたが,62年ころ何らかの批判をうけたらしく,いっさいの作品活動,社会活動を停止した。初期の短編はイデオロギーが前面に出て公式的・図式的であるが,むしろカップ壊滅後の作品によいものがある。代表作《黄昏》は,困難な状況下にあっても買弁資本家とたたかう先進的紡績労働者の姿を描きだしている。
執筆者:大村 益夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報