改訂新版 世界大百科事典 「李箕永」の意味・わかりやすい解説
李箕永 (りきえい)
(R)I Ki-yǒng
生没年:1895-1984
朝鮮の作家。号は民村。忠清南道牙山の生れ。開化思想をもつ父らが建てた私立学校を終え,一時教職についたが,1922年渡日し翌年関東大震災にあい,帰郷。24年短編《兄の秘密の手紙》が《開闢(かいびやく)》の懸賞に入賞して作家の道に入り,25年カップ結成にも参加した。植民地下農村の疲弊と階級分化,農民のたたかいを描いた長編《故郷》(1933)や《人間修業》(1936),《春》(1940)のほか,中編《野火》,短編《元甫》《製紙工場村》などがあり,農村作家としての個性を表現した。途中筆を折ったが,解放後は朝鮮民主主義人民共和国の新しい農民像を映した長編《大地》(1部1948,2部1960),短編《開闢》,19世紀末葉の反日義兵闘争から1930年代初期抗日武装闘争にいたる農民のたたかう姿を描いた民族叙事詩的3部作《豆満江》(1954-64)を出した。朝ソ親善協会委員長,最高人民会議副議長,朝鮮文学芸術総同盟委員長を歴任。金日成賞を受けている。
執筆者:金 学 烈
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報