朝鮮貨幣整理事業(読み)ちょうせんかへいせいりじぎょう

改訂新版 世界大百科事典 「朝鮮貨幣整理事業」の意味・わかりやすい解説

朝鮮貨幣整理事業 (ちょうせんかへいせいりじぎょう)

1904年の第1次日韓協約にもとづき目賀田種太郎韓国財政顧問が行った新貨幣発行・旧貨幣回収事業。目賀田は典圜(てんえん)局閉鎖によって朝鮮独自の貨幣発行を禁ずる一方,日本の第一銀行韓国支店に中央銀行的役割を担わせ,国庫,発券業務を担当させた。1902年以来発行されていた第一銀行券を無制限法貨とし,日本貨幣の無碍(むげ)通用を認め,かつ同貨幣と同品位同量目の新貨を発行した。他方,05年7月から朝鮮在来貨幣である白銅貨の葉銭(常平通宝通称)の回収を行った(〈貨幣〉の項の[朝鮮]参照)。品位量目が劣悪で激しいインフレ惹起(じやつき)させていた白銅貨は,通用期間が09年11月までと短期回収方式がとられ,約935万円がこの期間に回収された。このため貨幣収縮によって激しい恐慌が起こった。地方で根強い流通力を有している葉銭の回収は困難で,当分のあいだは補助貨として位置づけられ,徐々に整理された。貨幣整理事業の結果,日韓併合(1910)以前にいち早く植民地幣制が確立した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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