木材成分分離(読み)モクザイセイブンブンリ

化学辞典 第2版 「木材成分分離」の解説

木材成分分離
モクザイセイブンブンリ
wood refining

木材は,化学的には主成分としてセルロースヘミセルロースリグニンからなる複合体である.それぞれの成分を,それぞれの成分に特徴的な用途に有効に利用するためには,あらかじめ個々の成分に分離することが重要であり,これを木材成分分離という.代表的な技法としては,オートヒドロリシス法,オルガノソルブ蒸解法,爆砕法,ヒドロトロピック蒸解法などがある.オートヒドロリシス法は,水中での加熱処理の際に木材自身から遊離した酸による軽度の酸加水分解にもとづくものである.オルガノソルブ蒸解法は,有機溶媒と水の混液中で加熱するもので,基本的な反応は前者類似であるが,低分子化されたリグニンの可溶化による分離にすぐれている.爆砕法では,木材の形態がいちじるしく微細化されるとともに,リグニンの低分子化も進行するため,単独,またはほかの方法の前処理として有効な技法である.ヒドロトロピック蒸解法は,ヒドロトロピック塩の特異な性能を利用した成分分離法であるが,機構の詳細は明らかではない.これらの方法は,ある種の広葉樹材に対しては非常に有効であるが,針葉樹材についてはさらに技術開発が必要である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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