村村(読み)むらくしむら

日本歴史地名大系 「村村」の解説


むらくしむら

[現在地名]浜松市村櫛町

和田わだ村の南、庄内しようない半島の南端に位置。中世の村櫛庄の遺称地で、当地大村櫛おおむらくしとして推移したとみられる。嘉暦四年(一三二九)四月二〇日の村櫛庄年貢算用状案(教王護国寺文書)に「大村櫛分 毎年五石七斗二升当年納四石、未進一石七斗」とみえる。現在大村櫛の地名はないが、同算用状案の記載順から、現村櫛町付近に比定される。嘉暦四年の未進分は翌年になっても払われず、元徳二年(一三三〇)八月四日に幕府は村櫛庄雑掌定祐の訴えによって「西郷大村櫛村去年分年貢未進由事」を記した御教書を発した。これを受けた地頭代豪円は九月八日付で了解した旨を幕府に伝えたが(「地頭代豪円請文」東寺百合文書)、豪円はなかなか皆済しなかったようである。正慶元年(一三三二)九月一五日には豪円が「西郷大村櫛」の三年間分の未進分を皆済することを約している(「地頭代豪円請文」同文書)。当地は地頭分で西郷に属していた。康応元年(一三八九)一一月二二日の村櫛庄徳大寺方領家年貢注文(同文書)に「大村櫛浮免やすまり名年貢 十八石六斗内半分九石三斗除国方 半分九石三斗本所御分」「大村櫛浮免やすまり名 九石三斗」とあり、「やすまり名」は国衙方と本所方に分けられていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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