現上西郷・下西郷を中心にした地域に比定される。文暦二年(一二三五)九月一九日の関東御教書案(宗像大社所蔵文書/鎌倉遺文七)に「西郷」とみえ、宗像社雑掌が当郷沙汰人による
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
島根県北部、隠岐郡(おきぐん)にあった旧町名(西郷町(ちょう))。現在は隠岐の島町の中部を占める地区。旧西郷町は1904年(明治37)町制施行。1954年(昭和29)中条(なかすじ)、東郷、磯の3村と合併、1960年中村を編入。2004年(平成16)布施(ふせ)、五箇(ごか)、都万(つま)の3村と合併、隠岐の島町となる。旧西郷町は隠岐諸島島後(どうご)のほぼ東半分を占め、国道485号が通じる。名称は、近世矢尾村西郷に松江藩陣屋を置いたことに由来する。北部と東部の山地は急峻(きゅうしゅん)で、南部は矢尾川の沖積地が開ける。天然の良港西郷港からは本土の境港(さかいみなと)、七類(しちるい)港や島前(どうぜん)の諸港へ定期航路があり、隠岐空港からは大阪、出雲(いずも)空港へ定期便がある。古くから黒曜石を産し、それを用いた石器が山陰海岸諸地域で発見されている。古くは遠流(おんる)の地で、小野篁(おののたかむら)や後醍醐(ごだいご)天皇もこの地に配流された。行宮(あんぐう)所跡の隠岐国分寺境内(国史跡)のほか玉若酢命(たまわかすのみこと)神社などの史跡が多い。国分寺で4月に行われる蓮華会舞は国の重要無形民俗文化財。海岸一帯は大山(だいせん)隠岐国立公園の一部で、白島海岸や海苔田ノ鼻(のりたのはな)は国指定名勝・天然記念物。かつては広く牧畑が行われた。沖合いはイカなどの好漁場。
[江村幹雄]
『『西郷町誌』上下(1976・西郷町)』
福島県中通り最南端、西白河郡(にししらかわぐん)の村。1889年(明治22)西郷村成立以来、境域変更はない。東部の白河市との境界をJR東北本線、東北新幹線、国道4号、東北自動車道が走り、白河インターチェンジがある。また村域を南北に二分する阿武隈(あぶくま)川に沿って国道289号が通じる。西部は那須(なす)火山群に続く甲子高原(かしこうげん)が広がり、日光国立公園の一部をなし、甲子温泉、新甲子温泉がある。東部には水田が広がるが、白河市の影響で工場立地も多い。西部の高原はかつては馬産地で知られ、現在は乳牛飼育など畜産が盛んである。独立行政法人家畜改良センターがある。「上羽太(かみはぶと)の天道(てんとう)念仏踊り」は県指定無形民俗文化財。面積192.06平方キロメートル、人口2万0808(2020)。
[渡辺四郎]
『『西郷村史』(1978・西郷村)』
宮崎県北部、東臼杵(ひがしうすき)郡にあった旧村名(西郷村(そん))。現在は美郷町(みさとちょう)の中央部を占める地域。旧西郷村は2006年(平成18)同郡南郷村、北郷村と合併して町制施行、美郷町となった。入郷地帯(いりごうちたい)の西部の一画を占め西郷と命名。旧村域は耳川の中流域にあたるが、平地は少なく山林面積が80%を超える。国道327号、388号が通る。近世は延岡藩(のべおかはん)領。林業、シイタケ栽培が盛んで、宮崎県林業技術センターがある。完熟キンカンが特産品。中心地は田代(たしろ)で、国道より奥まった小盆地をなす。耳川には、山須原(やますばる)、西郷、大内原(おおうちばる)の3発電所がある。田代神社は御田祭(おんださい)の行事で知られる。
[横山淳一]
『石川恒太郎編『西郷村史』(1964・西郷村)』▽『『西郷村史』(1993・西郷村)』
福島県南部,西白河郡の村。人口1万9767(2010)。白河市の西に位置し,南は栃木県那須町に接する。那須火山帯に属する甲子(かつし)山の南東麓にひろがり,東流する阿武隈川が高原を深く開析して渓谷をつくる。第2次大戦中までは馬産地として知られた。上流の高原では酪農,下流の平地では稲作を中心とする農業が行われるが,近年工場の進出がめざましく,純農村から都市近郊農村に変わっている。特に白河市と隣接するうちの南部地区には,東北自動車道白河インターチェンジ,東北新幹線新白河駅が設置され,以前からのパルプに加え,精密機械,電子部品などの工場群が形成されている。西部の甲子高原は日光国立公園に属し,阿武隈渓谷の自然美に囲まれた甲子温泉郷や,新甲子温泉内の〈キョロロン村〉などの観光施設には多くの観光客が訪れる。スキー場,ゴルフ場があり,別荘地開発も盛んである。陸上自衛隊白河布引山演習場,農林水産省種畜牧場(現,独立行政法人家畜改良センター),県の福祉施設〈太陽の国〉がある。
執筆者:佐藤 裕治
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