来島恒喜(読み)くるしまつねき

改訂新版 世界大百科事典 「来島恒喜」の意味・わかりやすい解説

来島恒喜 (くるしまつねき)
生没年:1859-89(安政6-明治22)

明治前期の国粋主義者。福岡藩士の家に生まれ,高場乱(おさむ)の高場塾に学び,1879年向陽義塾に入る。玄洋社員として筑前共愛公衆会の国会開設運動に参加。上京して中江兆民仏学塾に入り朝鮮問題を研究,また小笠原島へ渡る。87年井上馨の条約改正案に反対運動を行い,一時帰郷したが,大隈重信の条約改正案に反対し,89年再び上京。霞が関外務省門前で大隈爆弾を投げて負傷させ,みずからのどを突いて自殺した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「来島恒喜」の解説

来島恒喜 くるしま-つねき

1860*-1889 明治時代国家主義者
安政6年12月30日生まれ。頭山満(とうやま-みつる)らの玄洋社社員となり,のち中江兆民の仏学塾にはいる。大隈(おおくま)重信外相の条約改正案に反対し,明治22年10月18日外務省前で大隈に爆弾を投じて重傷をおわせ,その場で自殺した。31歳。筑前(ちくぜん)(福岡県)出身

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の来島恒喜の言及

【条約改正】より

…89年この案で極秘のままアメリカ,ドイツ,ロシアと条約を締結したが,新条約案の内容が《ロンドン・タイムズ》に洩れると,法典編纂の予約は議会の立法権を制約するものであり,外国人判事任用は違憲という批判が国内で生じた。改正交渉の是非が新聞・雑誌上で激論され,政府内にも反対論が広がるなかで,玄洋社員来島恒喜の大隈襲撃事件が起こり,交渉は延期された。
[改正条約の成立]
 議会開設後最初の第1次山県有朋内閣の外相青木周蔵は対等条約案を列国に示した。…

※「来島恒喜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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