国指定史跡ガイド 「東大寺旧境内」の解説
とうだいじきゅうけいだい【東大寺旧境内】
奈良県奈良市雑司町ほかにある奈良時代の官寺で総国分寺でもあった寺院。別称は、大華厳寺、金光明四天王護国寺。東大寺は743年(天平15)の聖武天皇の廬舎那(るしゃな)仏建立の詔(みことのり)によって建造されたもので、その旧境内のうち、南大門、西大門跡、知足院、手向山八幡宮から若草山中腹におよぶ範囲が、1932年(昭和7)に国の史跡に指定され、1958年(昭和33)に大仏殿回廊、1964年(昭和39)に西塔院、1988年(昭和63)に大仏殿西回廊の調査を実施。1997年(平成9)に大仏殿の北北西に位置する正倉院の一画などが追加指定された。金堂である大仏殿は大仏鋳造後の着手とみられ、その後方には北中門を経て講堂が配されていた。講堂は東西約60m、南北約31.6mで、3面に僧坊がめぐり、さらに東方には食堂(じきどう)院が設けられていた。高さ約100mの七重塔は東西にあり、それぞれ回廊で囲まれ院を形成していた。現在も、多くの堂宇が寺域に建ち、日本を代表する奈良時代の寺院として往時の姿を残している。1998年(平成10)には「古都奈良の文化財」として、世界遺産に登録された。近畿日本鉄道奈良線近鉄奈良駅から奈良交通バス「大仏殿春日大社前」下車、徒歩約5分。