根笠錫山(読み)ねかさすずやま

日本歴史地名大系 「根笠錫山」の解説

根笠錫山
ねかさすずやま

[現在地名]美川町大字根笠

根笠の南、根笠山東南麓にあった。かつては錫山村と称した小村を形成し、現在常灯畑じようとうばたの白金マブ、遠掛向とおがけむかいの千人マブ、上岩屋かみいわやの「どじょうしき」などの名が残り、山の内やまのうち鹿田しかたなどにも鉱山採掘跡がある。

この鉱山については記録に乏しく、開発の詳細は不明であるが、「注進案」の根笠村庄屋の覚書に「天正年中、根笠村に錫山御座候て、年久敷盛り申候由に御座候、山出来候時分は、殿様広島御時代にて御座候、(中略)石見より山師参候て(中略)くさりを取、錫ふき候て宮島え出候得ば、広島より此錫は何より出候哉と御尋被成、根笠山より出申段被聞召、錫山有之段御注進不申上之通、偖々不謂儀と御座候て、私先祖又兵衛と申者、広島え被召出、先めし籠被為置候得共、錫之儀不存、御注進不申上之通り御断申上、夫より錫山可被仰付と御座候て、御山御取立之儀、段々被仰渡(中略)金山盛り申間ハ拾九ケ年程之由に御座候、別て御山方御用多、上方下ノ関え錫御売払之儀旁に付、方々被遣、先祖之者共相勤申之通り申伝候事(中略)萩え御移り被遊候ては、御国御山方より正月御年頭に、山口一ノ坂山より大田新左衛門、私親又左衛門と両人之者共、毎年正月七日に御城罷出、御土器頂戴仕、其上にて、正月十一日之御山御祝之御樽肴拝領仕罷帰候由に御座候」とあり、「地下上申」にも同様の伝承を記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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