格差対策(読み)かくさたいさく

知恵蔵 「格差対策」の解説

格差対策

小泉首相時代の構造改革は、日本社会に様々なひずみをもたらした。労働の規制緩和は、低賃金労働を増やし、雇用を不安定化させた。地方交付税や公共事業の削減は、農村部の地方自治体や地域経済の疲弊をもたらした。総じて、構造改革は格差社会をもたらした。 2007年7月の参議院選挙では、格差社会に対する国民の不満も、自民党敗北の一因となった。そこで、福田政権は構造改革路線の修正を掲げ、地方の支援などの政策を打ち出している。しかし、歳出削減路線の下での格差対策には限界がある。 他方、民主党は「生活優先」を唱えて、格差社会への対策を打ち出そうとしている。農家に対する戸別所得補償、子ども手当ての創設などを参議院選挙の公約にした。これらの政策に対しては、バラマキという批判もある。 格差問題をどのように定義し、これに対してどのような対策を講じるか、政治の世界ではまだ明確な合意はできていない。

(山口二郎 北海道大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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