椎名村(読み)しいなむら

日本歴史地名大系 「椎名村」の解説

椎名村
しいなむら

[現在地名]室戸市室戸岬むろとみさき町 椎名

室戸岬の北方、太平洋に面する狭い海岸平野に、街道に沿って南北に連なる村で、北は鹿岡かぶか坂を越えて尾崎おざき村、南は東寺ひがしでら村、西は山地で、室津むろつ村と峠道で結ばれる。

長宗我部地検帳では天正一五年(一五八七)の東寺地検帳と表題のある一冊に入れられ、すべて東寺(最御崎寺)分となっている。近世の椎名村域は同帳では鹿岡村として一町九反四代三歩、ししな村として九町九反七代一歩とあり、計一一町八反余である。山畠・切畑が目立ち、水田も下・下々等級が多く、生産性の低い土地柄である。現在清水しみず集落に多い久保姓の家の先祖は、地検帳にみえる切畑山の「大クホ」から下ってきたとの伝えがあるが、あまり古くない時代に東寺領室津庄から十連じゆうれん坂を越えて入植した人々が、しだいに海沿いの低地に開拓の鍬をいれていったのではなかろうか。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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