改訂新版 世界大百科事典 「検潮場」の意味・わかりやすい解説
検潮場 (けんちょうじょう)
験潮場とも書く。潮の干満で上下に運動している海面の高さ(潮位)を,長期間連続して観測することを検(験)潮といい,そのために設けられた施設を検潮場,潮位を自動的に記録する器械を検(験)潮器(儀)という。検潮場は,海岸近くに掘られた井戸の中に管で海水を導き,雨風や波浪に妨げられることなく,井戸内で潮位の観測ができるようになっているのが一般的である。検潮器は,浮標式検潮器と水圧式検潮器の2種類がよく用いられる。浮標式検潮器は,井戸の水面に浮標(うき)を浮かべ,それが潮の干満で上下するのを滑車の回転に変換し記録するものである。水圧式検潮器は,潮位の変化に比例して生じる海底の水圧変化を記録するものである。いずれもペン書き記録が一般的であるが,最近は電気的な記録方式が用いられるようになり,観測精度は向上している。検潮は,高潮の観測と予報,潮汐の予報など沿岸の住民にとって必要な情報を提供するのに役立っているばかりでなく,国土基本図や海図における標高および水深の決定,港湾工事,海洋環境調査,津波調査,海流調査,さらに地殻の上下変動調査,地震予知などに広く利用されている。
執筆者:中堀 義郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報