構造主義論争(読み)こうぞうしゅぎろんそう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「構造主義論争」の意味・わかりやすい解説

構造主義論争
こうぞうしゅぎろんそう

社会が存続するために必要で,いかなる社会にも存在するシステム,すなわち構造を発見し,研究することが構造主義であるが,その端を開いたのがソシュールの構造言語学である。レビ=ストロースは「科学の思考」と「野生の思考」は,その構造において同形であり,前者理性論理であり,後者感性の論理であるにしかすぎないとする。これはヨーロッパの伝統的な理性主義,人間主義,主観的思考様式に対するアンチテーゼとして発生したものである。しかし,サルトルなどの実存主義者たちは,構造主義の時間性,歴史性の欠如を批判し,構造主義は「人間」「主体」の自立的存在を否定するものとした。次いで解釈学的哲学派のリクールは,構造主義は解釈学的哲学の方法によって補完されねばならぬと批判し,ロンバッハも,現象学との総合の必要性を主張した。

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