改訂新版 世界大百科事典 「様斬」の意味・わかりやすい解説
様斬 (ためしぎり)
江戸時代,人を実際に斬って刀剣の利鈍をためしたこと。様者(ためしもの)ともいう。将軍の佩刀(はいとう)の場合,死罪の刑に処せられた者の死体を用い,牢屋内の様場(ためしば)において執り行った。浪人山田朝右衛門が代々御様御用(おためしごよう)の任にあたり,腰物奉行(こしものぶぎよう)らの立会いの下で,土壇に横たえられた刑屍を据物斬(すえものぎり)して斬れ味などを報告する。朝右衛門はまた,町奉行同心に代わって斬首刑の首打役(くびうちやく)を務めることがあり,その際に大名,旗本,陪臣から依頼された刀をためした。なお路上に通行人を襲う辻斬(つじぎり)にも様斬の目的をもつものがあったが,これはもとより犯罪として罰せられた。
執筆者:加藤 英明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報