機能的財政(読み)きのうてきざいせい(その他表記)functional finance

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「機能的財政」の意味・わかりやすい解説

機能的財政
きのうてきざいせい
functional finance

経済安定化のために財政的手段を伸縮的に活用しようとする補正的財政政策を財政の機能の首位におこうとする考え方で,A. P.ラーナーらによって唱えられた。その説によると,財政の機能は主としてインフレーションデフレーションを抑止するために需要の大きさを調節することにあり,また租税の目的も総需要を制御することに求められる。したがって公共目的の充足所得再分配という財政支出の基本的機能や経常収入調達という租税固有の役割は軽視され,経済安定化の目的だけが強調される。この点で機能的財政の考え方は行過ぎであり,財政資金配分国債の累積問題に対する誤った見解をもつ結果となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android