檳榔・蒲葵(読み)びろう

精選版 日本国語大辞典 「檳榔・蒲葵」の意味・読み・例文・類語

び‐ろう ‥ラウ【檳榔・蒲葵】

〘名〙
① ヤシ科の大高木。アジア熱帯地方、ニューギニア、オーストラリア、九州、沖縄、小笠原に生える。高さ八~一〇メートル、径三〇~六〇センチメートルに達する。シュロに似ているがさらに大きい。葉は長柄をもち幹頂に集まってつく。葉身は掌状に深く裂け、多裂片は線状披針形で長さ三〇~九〇センチメートル。葉柄は三稜があり、茎部の縁に黒褐色のとげを配列する。雌雄異株。夏、円錐状に分枝した肉穂花序に黄白色の小花を密生する。果実は長さ約一・五センチメートルの楕円形で、冬、青味がかった緑白色に熟す。葉は笠・うちわ・垣根などを作ったり屋根をふいたりするのに用いられる。また古くは牛車の車箱にはった。宮崎県の青島、鹿児島県の枇榔島の自然林は天然記念物に指定されている。和名は、同じヤシ科の別の植物ビンロウジュの漢名「檳榔」が変化したもので、古くはこの木もビンロウジュとも称した。漢名、蒲葵。わびろう。あじまさ。びろうじゅ。びんろう。びんろうじゅ。〔花壇地錦抄(1695)〕
② 「びんろうじゅ(檳榔樹)」の誤称。
蜻蛉(974頃)下「びらうひとつに四人許のりていでたり」
[補注]→「びんろうじゅ(檳榔樹)」の補注

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