日本大百科全書(ニッポニカ) 「枇榔島」の意味・わかりやすい解説
枇榔島
びろうじま
この呼称をもつ島は、鹿児島県に二か所ある。一つは肝属(きもつき)郡南大隅町(みなみおおすみちょう)にあり、他の一つは志布志市(しぶしし)に属す。前者は九州最南端の佐多岬の東北東約1キロメートルの大隅海峡(おおすみかいきょう)にあり、周囲約1.4キロメートル、面積0.05平方キロメートル、最高点59メートルの小島である。後者は志布志湾央付近、志布志港より約5キロメートル、周囲約4キロメートル、最高点83メートルで、いずれも無人島。名称が示すように両者とも全島がビロウ(ヤシ科の高木)林で覆われ、他の亜熱帯植生も卓越する。前者は1964年(昭和39)霧島屋久(やく)国立公園(現在は霧島錦江湾(きんこうわん)国立公園)に、後者は日南海岸国定公園に編入されている。志布志湾の枇榔島亜熱帯性植物群落は、特別天然記念物に指定されている。
[塚田公彦]