武器輸出問題
ぶきゆしゅつもんだい
武器が同盟諸国への軍事援助にとどまらず経済的利益をもたらす商品として世界市場で売買されている問題。 1960年代には米ソが主として先進諸国に売却し,発展途上国へは無償供与されることが多かった。 70年代になると,米ソ以外にも仏,英,西独などの先進国が発展途上国,とりわけ産油国を相手に武器輸出を行なうようになった。さらに 80年代になると,中国,ブラジル,イスラエルなどの途上国が武器輸出国として台頭するに至った。現在,米,露,仏,英,独,中国の6ヵ国で武器輸出シェアの 90%を占め,一方,輸出先はインド,イラク,エジプトを中心に紛争当事国およびその近隣諸国が大きなシェアを占めている。 90年代に入り冷戦の終結による軍縮の気運が高まるにつれ,余剰になった武器が先進国から第三世界へと輸出されるという懸念が現実のものとなり,湾岸戦争でイラク軍が用いた兵器の多くは,ソ連,ドイツ,フランス,中国,エジプト,アメリカなどから輸出されたものであった。今後は無責任な武器輸出を国際的に規制していく措置が望まれる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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