朝日日本歴史人物事典 「武衛市郎左衛門」の解説
武衛市郎左衛門
生年:生年不詳
江戸前期の砲術家。武衛流砲術の創始者。諱は義樹。但馬国竹野(兵庫県竹野町)の出身で,鳥居甚左衛門正教について三木流をはじめ数流の砲術を修めた。島原の乱(1637~38)のときに松平信綱が工夫した大短筒の効用を聞いて,口径の小さい長銃よりも大口径の短筒が有利だとの確信を抱き,信綱の嗣子輝綱の家臣松永里之助重最について中川流短筒術を学び,寛文年間(1661~73)になって,これらの諸砲術を取捨して一流を興し貫流と称したが,世人はこれを武衛流と呼んだ。武衛流は大筒抱え打ち,棒火矢ならびに火術を特色とした。
(所荘吉)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報