歯肉膿瘍(読み)しにくのうよう(その他表記)Gingival abscess

六訂版 家庭医学大全科 「歯肉膿瘍」の解説

歯肉膿瘍
しにくのうよう
Gingival abscess
(歯と歯肉の病気)

どんな病気か

 歯肉膿瘍は、歯肉の縁や、歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭(しかんにゅうとう))に限局してみられるうみをもつ病気です。

 発現頻度はまれで、魚の小骨、エビカニの殻などの硬い食べ物を食べている時、あるいはブラッシングや歯科治療を受けている際に生じた歯肉表面の傷口から、細菌が感染して起こります。

症状の現れ方

 歯肉が赤くなってはれ、指で触るとぶよぶよした感じがあります(図38)。はれた中央に(あな)ができ(瘻孔(ろうこう))、うみが自然に出ることもあります。重症になると、周囲の歯にまで痛みやはれが進行することもあり、歯周膿瘍と症状がよく似ているので、それとの区別が大切なことから、歯科医に早めに受診することをすすめます。

 歯周膿瘍と比べ、症状は軽度で、歯肉炎歯周炎との関連はほとんどありません。

治療の方法

 患部精密検査して、小骨や殻がある場合はそれを取り除き、うみを出してよく洗浄します。必要に応じて抗生剤や鎮痛薬投与を受けます。

伊藤 公一


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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