歯肉炎(読み)しにくえん(英語表記)gingivitis

翻訳|gingivitis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

歯肉炎
しにくえん
gingivitis

歯肉の炎症で,局所原因によるものと,全身的原因によるものとがある。前者は,歯苔歯石の沈着,適合の悪い補綴物や充填物,う蝕(虫),食物残渣などの刺激が原因となり,歯肉が赤くはれ,出血しやすくなる。原因を除き,清掃を続けることにより治癒するが,放置すると,慢性に進行して歯周炎になるおそれがある。全身性の原因としては,栄養障害ビタミン欠乏糖尿病,血液疾患,感染症などのほか,アレルギー性その他の皮膚粘膜疾患の部分症状として出現する。原因療法とともに,局所の清掃,消毒を行う。

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百科事典マイペディアの解説

歯肉炎【しにくえん】

歯齦(しぎん)炎とも。歯肉(歯ぐき)が歯に接触する部分,特に歯間乳頭部が赤くはれ,出血しやすくなる。重症の口内炎あるいは歯槽膿漏に進展することもある。治療は歯と口腔の清掃,歯肉の洗浄,抗生物質などの口内錠の使用,歯石などの誘因の除去。
→関連項目歯根膜炎歯周炎

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栄養・生化学辞典の解説

歯肉炎

 歯肉の炎症.諸種の原因で起こるが,口内を清浄に保つことにより自然治癒することが多い.

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世界大百科事典 第2版の解説

しにくえん【歯肉炎 gingivitis】

歯肉の炎症。急性のものと慢性のものとがあり,後者が圧倒的に多い。急性歯肉炎は,歯ブラシによる擦傷ヘルペスウイルスの感染,食品や薬剤へのアレルギーなどによって起こるほか,まれに細菌感染が原因と考えられる急性壊死性潰瘍性歯肉炎がある。慢性歯肉炎は小児から成人まで多くのヒトにみられる。その原因の主体は歯石による局所的な刺激と考えられている。歯肉炎は,最も不潔になりやすい歯の隣接面に接する歯間乳頭の発赤,浮腫,腫張に始まり,辺縁歯肉へ,さらには付着歯肉にまで波及する。

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大辞林 第三版の解説

しにくえん【歯肉炎】

歯肉の炎症。歯肉が赤く腫れ出血しやすくなる。歯齦しぎん炎。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

歯肉炎
しにくえん

歯肉(歯ぐき)の炎症性の疾患をいう。歯肉炎はもっとも罹患(りかん)率の高い口腔(こうくう)疾患の一つである。病理組織学的にみると、臨床的には健康歯肉であっても、そのほとんどに歯肉炎の所見が認められるといわれている。単に歯肉炎と称される場合は、単純性歯肉炎をさすことが多い。そのほかに特殊な疾患として、慢性剥離(はくり)性歯肉炎、急性壊死(えし)性潰瘍(かいよう)性歯肉炎があるが、ここでは単純性歯肉炎について述べる。臨床的に健康な歯肉は淡いピンク色を呈し、比較的硬く、歯肉表面にはミカンの皮の表面のような微細なくぼみ(スティップリングstippling)がみられる。歯ブラシなどによる口腔清掃が不十分であると、歯肉の炎症誘発因子である歯垢(しこう)、歯石が歯および口腔粘膜の表面に堆積(たいせき)し、歯肉炎がおこる。歯垢、歯石以外の原因としては、不適合な人工物(充填(じゅうてん)物、補綴(ほてつ)物)、口呼吸癖、食片圧入(食物が歯と歯の間に挟まること)などがあげられる。臨床症状には歯肉の充血または腫脹(しゅちょう)があり、罹患部位は出血しやすい。歯肉炎の自覚症状は少ないが、歯肉がむずがゆいような不快感を覚えることがある。歯肉炎の予防ならびに治療法は歯ブラシと歯間部清掃器具(歯間ブラシまたはデンタル・フロス)を用い、徹底したプラーク・コントロールとスケーリング(歯石除去)を行うことによって目的を達成することができる。治療処置を施さないで放置すると、歯周病原細菌の感染によって炎症は深部の歯根膜および歯槽骨に波及し、歯周炎を発症する。[加藤伊八]

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