六訂版 家庭医学大全科 「母系遺伝」の解説
母系遺伝
ぼけいいでん
Maternal inheritance
(遺伝的要因による疾患)
ミトコンドリアは、生命を維持し、活動に必要なエネルギーをつくるために細胞が備えている構造で、いわば発電所のような役割を果たしています。ミトコンドリア自身、核内DNAとは別に固有のDNA(デオキシリボ核酸)と蛋白合成システムをもっています。ミトコンドリアDNAは環状で、1万6569
精子に含まれるミトコンドリアは、受精の際に卵のなかに入り込むことができないため、すべての子どもは男女の区別なく母親由来のミトコンドリアDNAのみが機能し、父親のミトコンドリアDNAの影響は受けません。したがって、ミトコンドリアDNAの変異によって起こるミトコンドリア遺伝病は母系遺伝することになります(図13)。エネルギー産生に支障を来し、神経系、心臓循環器系などの機能異常を引き起こします。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報