朝日日本歴史人物事典 「比企朝宗」の解説
比企朝宗
鎌倉初期の武士。父は武蔵比企郡(埼玉県)の武士遠宗,母は源頼朝の乳母の比企尼。朝廷に仕えて内舎人となり比企藤内と称された。頼朝には母の縁で仕え,平氏追討で西海に派遣されるとともに,北陸道の勧農使に任じられて北陸道一帯を幕府の支配下に入れるために尽力した。文治2(1186)年に頼朝の命を受けて後白河法皇の熊野詣の費用を持って上洛し,京都守護の一条能保に属して源義経の追討に従った。同5年には奥州藤原氏を討つために従軍し,陸奥国岩井郡について沙汰するが,その後の活動は不明。娘は北条義時に嫁して名越朝時を生む。<参考文献>佐藤進一『鎌倉幕府守護制度の研究』
(五味文彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報