気塞(読み)きぶさい

精選版 日本国語大辞典 「気塞」の意味・読み・例文・類語

き‐ぶさい【気塞】

〘形動〙 (「気ふさぎ」の意)
① 気にかかるさま。気づまりなさま。
浄瑠璃釈迦如来誕生会(1714)三「奪(ば)ひ取は手間も隙も入ね共、つき者めがきぶさい也」
② 疑わしいさま。あやしいさま。
※浄瑠璃・傾城恋飛脚(1773)新口村「役人大勢打ち連立ち、此内がきぶさいなと、どかどかどかと込み入る所へ」
物事が満足のいくさま。気に入るさま。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[補注](1)形容詞として用いられた例もある。→形容詞「きぶさい」
(2)のち、「きぶっせい」の形に変わった。

き‐ぶさ・い【気塞】

〘形口〙
① 気にかかるさまである。疑わしい。あやしい。
※浄瑠璃・応神天皇八白旗(1734)四「表の方も残らず捜せ捜せ、庭の木蔭も気ぶさいと」
② 気にさわるさまである。気にくわない。
※浄瑠璃・新うすゆき物語(1741)上「気ぶさい園辺親子のやつばら、科(とが)に取て落せば日比の大望成就」
きぶさ‐げ
〘形動〙
きぶさ‐さ
〘名〙

き‐ふさぎ【気塞】

〘形動〙 気分がすっきりしないさま。心が晴れやかでないさま。
遙拝隊長(1950)〈井伏鱒二〉「この池の気塞ぎなやうな風景も、シベリアからの帰途にあった与十には郷愁対象にしたいのが当然である」

き‐ぶっさい【気塞】

〘形動〙 (「きぶさい」の変化した語) 気にかかるさま。疑わしいさま。
※歌舞伎・当龝八幡祭(1810)序幕「跡に一人の気(キ)ぶっさいな、十次兵衛どのは閉門ゆゑ」

き‐ぶっさ・い【気塞】

〘形口〙 (形容詞「きぶさい」の変化した語) 気がつまって、心がはればれしない。
※雑俳・川柳評万句合‐明和五(1768)義三「すけつねは坊主がへりが気ぶっさい」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報