気質の性(読み)キシツノセイ

デジタル大辞泉 「気質の性」の意味・読み・例文・類語

きしつ‐の‐せい【気質の性】

そうの儒者が、人間性について提起した学説の一。各人の受けた気の清濁による、それぞれに異なる現実的、物質的な性格。→本然ほんぜんの性

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精選版 日本国語大辞典 「気質の性」の意味・読み・例文・類語

きしつ【気質】 の 性(せい)

  1. 気質による人の性格。理念的な純粋至善な性格に対して、個人差優劣のある現実の性格。〔朱子語類
    1. [初出の実例]「気質の性善悪の不同あり。しかれども其の初を以ていへば、皆相近ふして遠からず」(出典:性理字義抄(1639)一)

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世界大百科事典(旧版)内の気質の性の言及

【性善説】より

…孟子の性善説では悪の起源を十分に説明することができない。そのため宋の朱熹(しゆき)(子)は孟子の性善説を継承しながらも,人の性を〈本然の性〉と〈気質の性〉とに分けて,この難点を解決しようとしたのである。性悪説【日原 利国】。…

【性即理】より

は本来善悪とは関係のない存在論的なカテゴリーであるが,朱子学では心を形づくる気は不善への可能性をはらむとみなすので,情=気の発動いかんによっては本来的に天から賦与されている善性=理がゆがめられるおそれがある。これを性の立場から言えば,人間の本性はゆるぎなき善であるがそれはあくまで理想態であって(これを本然の性と呼ぶ),理はつねに気と結合しており気を通してしか自己を現実化できず,またそもそも情のない人間はありえないので,現実の人間の性は純然たる善だとはけっして言えないのである(これを気質の性という)。このように朱子学では性善説にもとづきながらも,人間を楽天的・一面的にとらえず,理と気,性と情を峻別したうえで,気質の性から本然の性への復帰を主張するのである。…

※「気質の性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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