人間性(読み)にんげんせい(英語表記)human nature 英語

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

人間性
にんげんせい
human nature 英語
humanity 英語
menschliche Natur ドイツ語
Humanität ドイツ語
nature humaine フランス語
humanité フランス語

人間の本性。人間らしさ。人間の事実上の特性をさすだけでなく、あるべき理想の姿をも意味する。古代ギリシア思想に由来する人間観では、知的理性に人間の特質を認め、ホモ・サピエンス(英知人)という人間規定が優先する。これに対してヘブライズムの伝統を継ぐ人間観では、神につくられる人間としてのホモ・レリギオスス(宗教人)という人間規定が行われる。近代の人間観は、一方で知性を根拠とする自己完結的な自然本性を想定しつつも、他面で堕罪(だざい)から救済へと創造される可変的性格をも受容したため、知的な技術開発の進歩や社会構造の合理的変革に人間性の現れを認める思想を生み、ホモ・ファベル(工作人)としての創造的人間という規定が一般的になった。また、生の哲学では、知性に加えて感情や意欲などの連関からなる全人的生活体に人間性を認め、実存哲学は理性や感性といった特定の本質で規定できない自由な可能性を人間性と考える。

[柏原啓一]

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デジタル大辞泉の解説

にんげん‐せい【人間性】

人間特有の本性。人間として生まれつきそなえている性質。人間らしさ。「人間性にもとる行為」「人間性を疑う」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

人間性
にんげんせい
human nature

人間の人間であるゆえん,すなわち人間の普遍的本性の意であるが,人間らしさという価値的意味をもつ。この言葉自体,多義的であり,西洋ではギリシア,ローマの伝統に基づくかぎり,人間性は野蛮人との区別において,いわゆるギリシア,ローマの古典的教養を体得した「人間的人間」としての卓越性を意味した。ことにローマのキケロにおいてフマニタスの研究が提唱されたことは有名である。この人間性研究の伝統は,中世では神学の研究に変ったが,ルネサンスに入り,いわゆる人文主義 (→ヒューマニズム ) として復興し,以後フランスではモラリスト,イギリスでは道徳情操論,ドイツではロマン派などの立場に引継がれた。学問の細分化が著しい現代では,人間性の問題があらためて問直されているといえよう。東洋ではいわゆる人性論の伝統に基づくかぎり,性善説 (孟子) ,性悪説 (荀子) ,善悪いずれへの可能性も認める世碩,王充らの立場の3つに大別されよう。

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精選版 日本国語大辞典の解説

にんげん‐せい【人間性】

〘名〙 人間の本性。人間としての生まれつきの性質。人間である以上、いかなる思想の持ち主でも、生まれつき持っている性質。
※或日の大石内蔵助(1917)〈芥川龍之介〉「人間性に明(あきらか)な彼にとって、夢想さへ出来ない所である」

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