清濁(読み)セイダク

世界大百科事典 第2版の解説

せいだく【清濁 qīng zhuó】

声母の調音方法上の区別をあらわす中国音韻学の術語。清は,〈清〉(または全清,または純清,または最清),〈次清〉,〈濁〉(または全濁,または純濁,または最濁),〈清濁〉(または次濁,または不清不濁,または半清半濁。下位区分の〈清濁〉である)の四つに区分される。〈清〉とは無声無気の破裂音破擦音および無声摩擦音,〈次清〉とは無声有気の破裂音,破擦音,〈濁〉とは有声有気(一説に有声無気)の破裂音,破擦音および有声摩擦音,〈清濁〉とは鼻音,側音および一種の半母音(三十六字母の喩母に相当)を指す。

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大辞林 第三版の解説

せいだく【清濁】

澄んでいることと濁っていること。
正と邪。善と悪。
清音と濁音。
楽譜に示された、音の高低・強弱。 「 -のくらゐみな五音をいでず/著聞 6
清酒と濁酒。
[句項目] 清濁併せ吞む

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精選版 日本国語大辞典の解説

すみ‐にごり【清濁】

〘名〙
① すんでいることと、にごっていること。また、そのもの。転じて、比喩的に、善と悪。楽と苦。せいだく。
※人鏡論(1487)「古き世のことわざに、いやしきがちまたの言葉に、世のすみにこりをしるといふ事誠なる哉」
② 清音と濁音。せいだく。
※名語記(1275)四「すみにごりは心ならざる事也。かみの字にひかれて自然にいでくる清濁也」

せい‐だく【清濁】

〘名〙
① 清いことと濁っていること。澄むことと濁ること。
※三教指帰(797頃)上「清濁剖判最霊権輿、並稟二儀、同具五体」
※太平記(14C後)二五「凡一陽分れて後、清濁(セイダク)汚穢(わえ)を忌慎む事」 〔春秋左伝‐昭公二〇年〕
② 楽器を奏したり歌ったりする時の、楽譜に示された音の高低や強弱。また、それを聞き分けること。
※台記‐久安四年(1148)一〇月五日「禅閤以箏調同調、後着之、禅閤曰、納言辨清濁、勝于余
※古今著聞集(1254)六「清濁のくらゐみな五音をいでず」 〔礼記‐楽記〕
③ 語の発音で、澄んだ音と濁った音。また、はっきりした発音の区別。
(イ) 日本語の発音で、清音と濁音の別。かなに濁点、半濁点をつけない場合とつける場合との、発音上の区別。
※菅家文草(900頃)八・音韻清濁「焉在〈略〉喉中・舌前・牙歯・脣吻之清濁
※俳諧・三冊子(1702)わすれ水「清濁の事、濁るを清(す)むは難なし。すむを濁るは恥也」
(ロ) 中国の古い音韻学で、子音を清・次清・濁・清濁の四種に分けたその一つ。鼻音にあたる。
④ (━する) 清音と濁音の印をつけて、読み方や発音が分かるようにすること。
※日葡辞書(1603‐04)「キャウヲ xeidacu(セイダク)スル」
⑤ 曲と直。善悪。善人と悪人。賢人と愚人。また、優劣。
※吾妻鏡‐建久六年(1095)七月二日「国務及検断等事、就清濁、聊有尋成敗給事云々」 〔史記‐酷吏伝序〕
⑥ 清酒と濁酒。
※雑俳・柳多留‐一三(1778)「せいだくをわけてもてなすひなの酒」

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世界大百科事典内の清濁の言及

【字音】より

…これは朝鮮漢字音の成立期には有気・無気の弁別がまだなかったためかと考えられている。 一方,無声(全・次清),有声(全濁)の別は,日本呉音では清濁の別に反映されるが,日本漢音は両方とも清音で区別しない。布(フ)と捕(ブ)(漢音は共にフ),帯(タイ)と大(ダイ)(タイ),君(クン)と群(グン)(クン)等である。…

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