改訂新版 世界大百科事典 「水病」の意味・わかりやすい解説
水病 (すいびょう)
shuǐ bìng
中国医学における病名。水は中国伝統医学で気,血などとともに重視されている要因であるが,痰などもその異常によって生ずるというように,現在の知識とは少し異なった解釈も加えている。水病は水の代謝異常に起因する病気で,水気病という語も用いられている。水病のうちでもっとも重要なものは水腫であるが,医家によって解釈に違いがあり,さまざまに分類されている。すなわち《金匱(きんき)要略》は風水,皮水,正水などがあるとし,《諸病源候論》は青水,赤水,黄水などの十水(10種の水病)のほかに皮水,毛水なども記載し,二十四水というような分類をした人もあることを伝えている。また《丹渓心法》では陽水と陰水に分類している。ただ,その分類の基準と,それらが現代医学のどのような病気に相当するかは必ずしも明らかでない。水腫が腎に関係あることは一貫して認められているが,《諸病源候論》で脾に,《奇効良方》で心などによるものもあるとしているように,ほかの臓に関係のあるものがあることも認められていた。
執筆者:赤堀 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報