日本大百科全書(ニッポニカ) 「水蒸気改質法」の意味・わかりやすい解説
水蒸気改質法
すいじょうきかいしつほう
steam reforming process
炭化水素と水蒸気を触媒の存在下高温で反応させ、水素あるいは合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)を製造する方法。水蒸気変成法ともいう。原料はおもにメタン、液化石油ガス(LPG)、ナフサなどの軽質炭化水素で、前処理として脱硫を行っておく必要がある。触媒はおもにニッケルが用いられ、800~850℃で反応が進行し、一酸化炭素あるいは二酸化炭素と水素が生成する。
いずれも吸熱反応であるため、反応系へ外部から熱を供給しなければならない。
より多くの水素を製造するためには、一酸化炭素と水蒸気から水素と二酸化炭素が生成する反応(シフト反応)を行う。高温法では鉄‐クロム系触媒の存在下400℃、低温法では銅‐亜鉛系触媒の存在下200℃で反応が行われる。
高純度の水素を製造するためには、不純物のうちとくに触媒毒となる一酸化炭素を除去する必要がある。メタン化は、一酸化炭素と水素からメタンと水が生成する反応で、ここでは水素中に残存する微量の一酸化炭素を除去する目的で行われる。反応はニッケル系触媒の存在下400℃程度で行われる。また水素精製法として、1990年代より圧力スイング吸着法(PSA法。PSA=pressure swing adsorption)が用いられている。
[八嶋建明]