朝日日本歴史人物事典 「水越与三兵衛」の解説
水越与三兵衛(初代)
江戸後期の京都の陶工。父は杉浦仁蔵という京都三条の豪商であったが,母方の家を継いで水越を姓とした。与兵衛,与三平とも。京都岡崎の文山について陶法を学び,五条に開窯,南蛮花入の写し,唐津焼,萩焼の茶道具の写しなど写し物を盛んに作り,亀甲の中に「与三」の2字を入れた印を捺した。文政5(1822)年に加賀(石川県)の陶工桶屋伊三郎が与三兵衛に陶法を学んだことが『九谷陶磁史』にみえる。2,3代と家業を継いだが,万延1(1860)年に陶家の伝統は絶えたといわれる。
(矢部良明)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報