化学辞典 第2版 「求電子芳香核置換」の解説
求電子芳香核置換
キュウデンシホウコウカクチカン
electrophilic aromatic substitution
芳香環炭素原子上での置換反応.多くの場合,水素原子が置換されてほかの原子あるいは原子団が導入される.カチオン性の反応種が芳香環のπ電子に対して求電子的に攻撃することにより反応が起こり,ニトロ化,ハロゲン化,スルホン化,フリーデル-クラフツ反応などがある.求電子反応種が芳香環炭素と結合した反応中間体はσ錯体とよばれ,ほとんどの場合,σ錯体の形成過程が律速段階となる.σ錯体からプロトンが脱離して芳香環が再生して置換が完了する.芳香環に電子供与性置換基(アルキル基,アルコキシ基,アミノ基など)があると求電子芳香核置換は起こりやすくなり,既存の置換基に対してオルト位またはパラ位に置換が起こる.一方,電子求引性置換基(ニトロ基,シアノ基,スルホン基,カルボキシル基など)がついている場合は,電子芳香核置換は起こりにくくなり,置換位置もメタ位の生成物が主となる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報