スルホ基-SO3Hを導入するための有機化合物合成反応。スルホン化試剤としては,硫酸H2SO4,発煙硫酸,三酸化硫黄SO3,クロロ硫酸HSO3Cl,フルオロ硫酸HSO3Fなどが用いられる。染料や界面活性剤の製造に重要な反応である。たとえば,ベンゼンと発煙硫酸とからベンゼンスルホン酸が生成する反応(式(1))がある。
脂肪族スルホン酸も安定に単離される。たとえば,オレフィンに発煙硫酸を作用させると,式(2)に示すように硫酸エステルを生成する。
脂肪族アルデヒド,ケトン,カルボン酸,カルボン酸無水物はα-スルホン酸を生成する(式(3))。
以上の反応は有機化合物を直接スルホン化する方法であるが,メルカプタン,スルフィド,ジスルフィド,スルフィン酸などを酸化してスルホン酸を得る間接スルホン化の方法もある。脂肪族スルホン酸の合成には,直接スルホン化が困難な場合があり,間接スルホン化も汎用される。このようにして得られたスルホン酸は,一般に白色の固体で,水に易溶で強い酸性を示し,吸湿性で空気中では容易に潮解する。酸化剤や還元剤に対してきわめて反応性に乏しいが,芳香族スルホン酸をアルカリ融解するとフェノールを生成する。
執筆者:友田 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
有機化合物の水素原子をスルホ基-SO3Hに置換する反応。芳香族炭化水素またはその誘導体に、硫酸または発煙硫酸(濃硫酸に多量の三酸化硫黄(いおう)を吸収させたもの)を作用させて行う。反応しにくい化合物の場合は、クロロ硫酸(クロロスルホン酸)ClSO3Hをスルホン化試薬として使うこともある。硫酸類によるスルホン化における真の試薬は三酸化硫黄で、求電子置換反応に分類される。スルホン化反応は可逆であるため、生成物のスルホン酸を希硫酸と加熱すると元の炭化水素を生成することがある。また、反応条件によってスルホ基の入る位置の選択、あるいは異性化を行うことが可能である。ナフタレンの場合がその好例である。スルホン化反応は、染料や中性洗剤などの工業的製造において重要な工程となっている。
[務台 潔]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
炭化水素にスルホ基-SO3Hを導入すること.一般に,濃硫酸,発煙硫酸,クロロスルホン酸などを用いる.染料や界面活性剤の製造に重要な反応である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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