精選版 日本国語大辞典 「沙汰無」の意味・読み・例文・類語
さた‐なし【沙汰無】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 )
- ① 他に知らせないこと。黙っていること。ないしょ。秘密。
- [初出の実例]「夫成らばいふて聞さうが、必沙汰なしでおりやるぞや」(出典:虎寛本狂言・米市(室町末‐近世初))
- ② 表沙汰にしないこと。穏便にすますこと。また、そのようにするさま。
- ③ 話がなかったことにすること。とりやめること。中止。
- [初出の実例]「又分別替りて、夜ぬけの事は沙汰(サタ)なしにして」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)二)
- ④ 相手に知らせないこと。ことわりなし。
- [初出の実例]「例の友へもさたなしに抜買(ぬけがい)と出ようか」(出典:洒落本・初葉南志(1780))
- ⑤ おとずれのないこと。便りのないこと。無沙汰。
- [初出の実例]「一向(さっぱり)沙汰(サタ)なし」(出典:人情本・鶯塚千代の初声(1856)初)