河岸地(読み)かしち

改訂新版 世界大百科事典 「河岸地」の意味・わかりやすい解説

河岸地 (かしち)

江戸の市中に発達した水路や江戸湾に沿う物資上げ下ろしの場所。大坂では浜地,京では川端といった。土蔵納屋が建てられ荷物置場ともなり,また市が開かれ商品取引の行われる場所となるところもあった。河岸通りの町家は沽券(こけん)状も高く,また河岸地使用者は冥加金を負担した。火災の延焼防止のため,荷物の高積み禁止などの取締りも厳しかった。日本橋川沿いの魚河岸・四日市河岸(木更津河岸)・米河岸・小舟河岸・行徳河岸,京橋川沿いの白魚河岸・竹河岸などをはじめ,外濠・紅葉川・三十間堀・神田川・隅田川・汐留川・新堀川・江東地区諸水路沿いなどに多くの河岸地があった。木更津河岸はその使用権が木更津湊の人々に与えられたこと,また行徳河岸は行徳塩の専用揚場としての特権が与えられたことに始まる。なお大名屋敷もとくに下屋敷は水路に面して物揚場(河岸地)をもつものが多く,また浅草米蔵など幕府直轄の物揚場もあった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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