朝日日本歴史人物事典 「河野安信」の解説
河野安信
生年:文政3(1820)
幕末明治期のあけび蔓細工の創案者。信濃国高井郡野沢村(長野県野沢温泉村)生まれ。通称は重次郎。山野に自生するあけび蔓を利用して,草履表や飯かごなどを製作するために,弘化2(1845)年「にぎりかんな」を考案して蔓の厚みを揃えることに成功。村内に普及し,農閑期の本格的な副業として発達した。明治8(1875)年,自作の蔓細工品を内国勧業博覧会に出品し,好評を博した。その後,野沢村の蔓細工製品の需要はさらに増した。村の功労者として,死後に健命寺の境内に頌徳碑が建てられた。蔓細工の普及は今でいう村おこしの先駆けといえる。<参考文献>『野沢温泉村誌』
(小松芳郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報