泌尿生殖系(読み)ひにょうせいしょくけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「泌尿生殖系」の意味・わかりやすい解説

泌尿生殖系
ひにょうせいしょくけい

血液から尿を濾過(ろか)して体外に排出する器官と、雌雄生殖に関与する器官の総称。泌尿系は腎臓(じんぞう)、輸尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道からなり、生殖系は卵巣輸卵管、子宮、腟(ちつ)の雌性生殖器官や、精巣、副睾丸(こうがん)、輸精管、貯精嚢(ちょせいのう)、前立腺(せん)などの雄性生殖器官からなっている。泌尿系と生殖系をまとめて呼称するのは、両系が解剖学的に近い位置にあるとともに、発生学的にも互いに近い部域から器官が形成されるためである。脊椎(せきつい)動物では中胚葉(はいよう)由来の腎節から前・中・後腎ができるが、中腎からウォルフ管(中腎輸管)、副睾丸、貯精嚢、無羊膜類の腎臓が、後腎から羊膜類の腎臓ができる。ミュラー管(前腎輸管)からは輸卵管、子宮、上部腟が、ウォルフ管からは輸精管や前立腺ができる。一方、総排出腔(こう)から分離した泌尿生殖洞からは膀胱、尿道、下部腟が形成される。生殖腺では、卵巣は中腎域と腸間膜の間の体腔背壁から突出した生殖隆起の上皮からでき、精巣は上皮に由来する性索から分化する。

高杉 暹]

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