上皮(読み)ウワカワ(その他表記)epithelium

翻訳|epithelium

デジタル大辞泉 「上皮」の意味・読み・例文・類語

うわ‐かわ〔うはかは〕【上皮】

物の表面を覆うもの。うわっかわ。うわおおい。外被。「ミルク上皮をすくう」
表面を覆う皮膚表皮ひょうひ
[類語]皮膚かわはだはだえ肌膚きふ地肌じはだ外皮がいひ表皮ひょうひスキン表面

じょう‐ひ〔ジヤウ‐〕【上皮】

動植物の体表面や動物の体内の器官内表面などをおおっている細胞層。うわかわ。

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精選版 日本国語大辞典 「上皮」の意味・読み・例文・類語

うわ‐かわうはかは【上皮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物の表面をおおうもの。外被。うわっかわ。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「チチノ uwakawa(ウワカワ)〈訳〉ミルクの表面にできるクリーム」(出典:和英語林集成(初版)(1867))
  3. からだの表面をおおう皮膚。はだ。
    1. [初出の実例]「種をしるは道、此道をしる心は骨力なり。それをやわらぐる満風は肉身なり。それを猶ふかめて、うつくしくみするはうはかわなり」(出典:五音三曲集(1460))
    2. 「そも人間の皮ひとゑ、下は恐ろしうはかははまづ美しき上臈(らう)の面をもたせて」(出典:浄瑠璃傾城酒呑童子(1718)四)
  4. うわかわ(上側)

じょう‐ひジャウ‥【上皮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 動物体の外表面や体腔(たいこう)・器官などの表面をおおう細胞層。構成する組織を上皮組織、その細胞を上皮細胞という。
    1. [初出の実例]「上皮に出る瘡なんどはなをしやすいが」(出典:史記抄(1477)一一)
  3. 一般に、植物などの表面をおおう皮。
    1. [初出の実例]「水より取り出だし、小刀を以て粗き上皮を削り去る」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉六)

うわっ‐かわうはっかは【上皮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 「うわかわ(上皮)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「果物でも何でも、おいしいのは上っ皮のところね」(出典:波(1928)〈山本有三〉子)
  3. 内実と違う表面的なもの。
    1. [初出の実例]「世間の人々からの信用は、ほんの上っ皮だけの虚栄心の満足を私に与へては居たが」(出典:還元録(1916)〈相馬御風〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「上皮」の意味・わかりやすい解説

上皮 (じょうひ)
epithelium

体表面,管腔(たとえば消化管,呼吸器の管系,泌尿生殖器の管系など),体腔(心膜腔,腹膜腔,胸膜腔)など,動物体の内外の遊離面をおおう細胞層を上皮組織epithelial tissueという。上皮組織は上皮細胞の集まりからなっている。上皮細胞はその形態によって,扁平上皮細胞,立方上皮細胞,円柱上皮細胞,繊毛上皮細胞に分けられる。繊毛は円柱細胞がもつ場合が多く,繊毛円柱上皮細胞の名称もある。単層に配列する上皮を単層上皮,多層にぎっしりつまったものを重層上皮とよぶ。また細胞の基底側は下まで達しているが高さが異なるために,核の位置が重層にみえる場合を多列上皮とよぶ。機能によって上皮の状態が重層と2~3層の間を移行するものを移行上皮とよぶ。

 扁平上皮細胞が単層に配列したものを単層扁平上皮,重層に配列したものを重層扁平上皮と名づける。立方上皮細胞が単層に配列したものを単層立方上皮,重層に配列したものを重層立方上皮とよぶ。円柱上皮が単層に配列したものを単層円柱上皮,重層に配列したものを重層円柱上皮とよぶ。円柱上皮は多列に配列することも多く,この場合を多列円柱上皮という。また単層円柱上皮において細胞が繊毛をもつものを,とくに単層円柱繊毛上皮とよぶ。

 上皮の形態は器官によってきまっている。たとえば,漿膜は単層扁平上皮,表皮,食道,直腸は重層扁平上皮,胃,小腸,大腸の大部分は単層円柱上皮,卵管,気管は単層円柱繊毛上皮,尿管,膀胱は移行上皮で,尿がたまると上皮は伸展されて細胞は2~3層になるが,尿がからになると多層になる。特定の器官では上皮細胞の高さが機能によって変化し,立方状になったり円柱状になったり,あるいは扁平状になったりする。たとえば甲状腺濾胞上皮は一般に単層立方上皮であるが,単層円柱上皮にも単層扁平上皮にもなりうる。

 血管の内皮は一般に単層扁平上皮であるが,とくに内皮endotheliumとよび,また心膜腔,腹膜腔,胸膜腔の表面をおおう上皮は単層扁平上皮であるが,とくに中皮mesotheliumとよぶならわしである。

 上皮はその機能によって,被蓋上皮,腺上皮,吸収上皮,感覚上皮,呼吸上皮などに分けられる。たとえば表皮は被蓋上皮(ケラチンを分泌する),膵臓や唾液腺のようなほとんどの外分泌腺の終末部は腺上皮,腸管の上皮は吸収上皮,内耳のコルチ器の上皮は感覚上皮,肺の上皮は呼吸上皮である。

 上皮細胞どうしはいろいろな装置によって結合しあっている。上皮細胞の上端には隣の細胞との間に閉鎖帯zonula occludensがあり,細胞膜どうしが融合しあって細胞間隔をシールしている。閉鎖帯のほかに上皮細胞間にはデスモソームdesmosomeという斑状の構造が散在しあって細胞間を接着している。またギャップ結合gap junctionとよばれる構造が斑状にちらばり,ここでは両細胞の細胞間がいちじるしく接近し,その間に特有のタンパク質粒子が介在し,この粒子の中央に両細胞をつなぐ小孔があり,細胞間のイオンの交流を行っている。上皮細胞の基底側には細胞膜の下に基底膜(基底板)があり上皮を裏打ちしている。上皮細胞において腔に面する側を上部とよび,細胞質の突起である微絨毛(びじゆうもう)をもつことが多い。その表面を糖衣glycocalyxがおおっている。脊椎動物の器官形成において,上皮は神経管の形成など重要な役割を果たし,また上皮と間充織(間葉)の相互作用によってさらに高次な器官分化が導かれる。
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百科事典マイペディア 「上皮」の意味・わかりやすい解説

上皮【じょうひ】

動物体の外表面あるいは体腔や器官の内腔などをおおう組織。下面の結合組織との間に基底膜をもつことが多く,また,表面にクチクラ層を分泌する場合もある。発生上,外胚葉性(皮膚の表皮など)・中胚葉性(腹膜上皮など)・内胚葉性(腸粘膜上皮など)に,機能上,吸収・分泌(腺)・保護・感覚・生殖上皮に,また付属物によって繊毛・鞭毛(べんもう)・色素上皮などに分けられる。眼の水晶体,爪,毛,羽毛などは上皮の変形物。
→関連項目上皮内癌

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レーシック関連用語集 「上皮」の解説

上皮

角膜上皮のこと。角膜の断面5層のうち、一番表面にある、やわらかい層のことで、レーシックの手術では、この層を薄くめくり上げて、フラップというフタを 作ります。一般的に上皮細胞は2週間ごとに新しく生まれ変わるので、上皮のみのフラップは、固着するのが早いと言われています。

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世界大百科事典(旧版)内の上皮の言及

【角膜】より


[角膜の構造と働き]
 解剖学的には,角膜は5層からなる。最表層は角膜上皮epitheliumといい,上皮細胞の層で,5,6層の扁平および円柱上皮からなる。代謝が盛んであり,細胞が障害されても修復は速い。…

【表皮】より

…生物体の体表をおおう組織。動物では皮膚や粘膜の上皮をいう。発生学的には外胚葉に由来する。…

※「上皮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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