法全寺(読み)ほうせんじ

日本歴史地名大系 「法全寺」の解説

法全寺
ほうせんじ

[現在地名]飯田市法全寺

法全寺村の西に位置する。臨済宗妙心寺派、瑞衍山と号す。本尊は阿弥陀如来坐像。寺伝によれば、伴野ともの庄地頭知久敦信が父敦幸の菩提を弔うために建立したものと伝えられる。知久氏系図(知久家文書)に、敦幸を「法全寺殿」としていることからも寺号と敦幸との関連が推測される。敦信は、延慶二年(一三〇九)に諏訪社上社に五重塔を建立したことでも知られる。開山は大鑑清拙の法孫にあたり、知久氏の出身と考えられる自明正久で、その後も天与清啓ら知久氏出身の名僧が住し、開善寺(現飯田市上川路)とともに、下伊那地方禅林の中心的存在として隆盛を誇った。天与清啓は寛正元年(一四六〇)に遣明正使に任じられ、応仁二年(一四六八)には憲宗皇帝に将軍足利義政の表を呈した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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