改訂新版 世界大百科事典 「洋上補給」の意味・わかりやすい解説
洋上補給 (ようじょうほきゅう)
underway replenishment
海洋上で艦船から艦船またはヘリコプターに,燃料,真水,糧食,弾薬等を補給すること。艦船等が基地から遠く離れた海面で長期連続して行動する場合,洋上補給が不可欠である。19世紀に軍艦が汽走になってから石炭を移載したのが始まりで,1902年イギリス戦艦〈トラファルガー〉が石炭運搬船を約8ノットで曳航しながら1時間に30tの石炭を搭載したといわれる。現代は各種の補給艦がある。燃料は給油艦から給油蛇管(だかん)を連結して行い,艦船には毎分7~15kl,ヘリコプターには毎分200~300l補給可能である。糧食,弾薬等は,艦と艦の間にロープまたはワイヤを張り,それにかごを下げ,かごに糧食,弾薬等を載せ,人または機械で引き寄せるハイラインと称する方法で行い,1回に約300~1500kg移載できる。洋上補給を実施する場合,とくに天候,海上模様および敵情等の急変に即応できる注意と準備が必要である。
執筆者:田尻 正司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報