日本大百科全書(ニッポニカ) 「洋服だんす」の意味・わかりやすい解説
洋服だんす
ようふくだんす
洋服や下着などを収納するための家具。洋服だんすがわが国に入ってきたのは明治の初期であるが、服飾が洋風化したため、今日ではもっとも身近な家具の一つとなっている。普通に使われている形式は、洋服を吊(つ)るす上箱を、引出しを1、2段つけた下箱の上にのせたものである。上箱は開き戸になっていて、中には小引出しがある。大きさは間口が90~120センチメートル、高さ180センチメートル、奥行60センチメートルが標準である。和風たんすの奥行が45センチメートルであるため、それと前面がそろうように洋服を斜めに吊るす形式のものもある。ヨーロッパでも昔は衣類は櫃(ひつ)の中に収納していたが、その後、高脚付き二段重ねたんすが生まれ、18世紀ころになって吊るす形式のものがつくられた。材料にはナラ、カバ、シオジ、ブナ、ラワンなどが用いられ、扉は化粧板を張って仕上げる。以前は正面を彫刻や木象眼(ぞうがん)で飾り、また鏡をはめ込んだものが多かったが、最近は単純なデザインのものになってきている。また洋服だんすを造り付けにして壁面に組み込んだものも普及するようになった。それらは収納ユニットとよばれている。
[小原二郎]