日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラワン」の意味・わかりやすい解説
ラワン
らわん
lauan
熱帯アジアの原生林に多いフタバガキ科(APG分類:フタバガキ科)植物のうち、主としてショレア属Shorea、パラショレア属Parashorea、ペンタクメ属Pentacmeの3属に入る、比較的材質が軽軟な樹種の総称。フィリピンではこれに相当するメランティ類のことをラワンと称する。ベニヤ、建築材、器具材など用途が広く、日本は多量に輸入している。
種類が多く、普通は高さ50~60メートル、直径0.8~1メートル以上になり、通直な円筒状の大径木になって大きな樹冠を広げる。陰樹で、稚樹は強い陽光に弱い。花は5枚の萼片(がくへん)と花冠があり、果実には萼片の発達した翼があり、ショレア属やパラショレア属では3枚が長く、2枚は短い。樹皮、木材ともに樹脂道をもち、一般に樹脂は黄色系で芳香がある。材は比重0.6程度までの散孔材で、材色は紅色から白色まである。年輪は認められないが、横断面では垂直樹脂道が年輪状に並ぶことが多い。材の保存性は一般に低く、屋内の利用にはよいが、接地または屋外での使用には不向きである。
材色、材質から次のように区分している。(1)赤ラワン類 材は淡紅または紅褐色で、ラワンのなかではやや重硬である。レッドラワン、タンギルなどはこれに入る。(2)白ラワン類 材は灰白、淡灰褐、淡紅褐色で、軽軟である。ホワイトラワン、アルモンなどはこれに入る。(3)黄ラワン類 材は淡黄、淡黄褐色で、中庸またはやや重硬である。イエローラワンなどはこれに入る。
[小林義雄 2020年11月13日]