日本大百科全書(ニッポニカ) 「洞結節不全」の意味・わかりやすい解説
洞結節不全
どうけっせつふぜん
右心房の上大静脈開口部付近にあって心臓の歩調取り(ペースメーカー)である洞結節(洞房結節)およびその周辺の病変により、著明な洞性徐脈、一過性の洞停止や洞房ブロック、徐脈頻脈症候群などをきたすことがある。これを洞結節不全あるいは洞不全症候群という。徐脈や洞房ブロックによって極端に心拍数が減少すると、めまいや失神をおこすことがある。徐脈頻脈症候群では、頻脈発作が停止すると10秒以上にも及ぶ長い休止期が続くことがあり、典型的なアダムス‐ストークス発作をおこす。洞結節不全の大半は原因不明であるが、一部は冠動脈疾患、心筋炎、心筋症など原因の明らかなものがある。洞結節不全による失神発作が確認されれば、人工ペースメーカーの植え込み術が行われる。自覚症状がないか軽度の場合には交感神経刺激剤が試みられる。
[井上通敏]