一般には脳貧血ともよばれ,脳の循環障害により一時的に血流が低下することによって起こる短時間かつ一過性の意識消失をいい,通常,器質的病変を伴わない。発症は急激ではあるが,意識を失うまでには2,3秒を要することが多く,四肢冷感,発汗,霧視などの前兆を伴うこともある。したがって突発的に転倒することはなく,しゃがみ込んだり,横になることが可能なこともある。患者は冷たくかつ柔らかで,呼吸はため息様,脈は遅くかつ弱い。ときに尿失禁またまれには痙攣(けいれん)を伴うこともある。発症機序は,脳血管の狭窄を除けば,心拍出量の低下であり,表のような種々の原因が知られる。
失神そのものは,横になったり,頭を下げてしゃがむことでおさまるが,不整脈等の器質的疾患のある場合はその治療が必要であり,まず原因の精査,鑑別が重要である。起立性低血圧では,下肢や腹部に弾性包帯をしたり昇圧薬やステロイド薬を用いる。頸動脈洞性失神にはアトロピンが用いられるが,効果のみられない場合には頸動脈洞の除神経も行われる。
→気絶
執筆者:水沢 英洋
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秒あるいは分の単位でおこるごく短時間の一過性の意識消失をいう。意識がある場合は意識清明と表現するが、意識の障害があるときには意識障害といい、その程度により、軽いものから高度のものへの順で、無関心、傾眠、昏眠(こんみん)、昏睡に分類する。昏睡はもっとも高度の意識障害で、種々の反射の消失、尿・便の失禁などを伴った意識の完全な消失を意味する。一過性の意識消失である失神は、一般に脳の一時的循環障害によるものとされている。しかし、心房・心室間の興奮伝導障害である房室ブロックの際に、1分間の脈拍数が50あるいは40以下の徐脈を呈するとともに、顔面蒼白(そうはく)、意識障害、失神をおこし、かつ、てんかん様けいれんをおこす場合は、アダムス‐ストークスAdams-Stokes症候群とよばれている。
[渡辺 裕]
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…失神syncopeともいう。脳循環不全のため一時的な意識障害を生ずるものであり,徐脈,血圧低下,起立性低血圧などによって生ずることが多いが,高度の精神的ストレスによって生ずる心因性のものも少なくない。…
…失神syncopeともいう。脳循環不全のため一時的な意識障害を生ずるものであり,徐脈,血圧低下,起立性低血圧などによって生ずることが多いが,高度の精神的ストレスによって生ずる心因性のものも少なくない。…
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