津奈木太郎峠(読み)つなぎたろうとうげ

日本歴史地名大系 「津奈木太郎峠」の解説

津奈木太郎峠
つなぎたろうとうげ

津奈木町と芦北町湯浦ゆのうら地区の境界にある峠。近世には津奈木太郎坂ともよばれ、津奈木側は野中のなか村、湯浦側は山川やまかわ(現芦北町)である。古くから薩摩街道の難所の一つで、赤松太郎あかまつたろう峠・佐敷太郎さしきたろう峠とともに太郎の嶮といわれた。文政一二年(一八二九)湯浦からこの峠を越えた大坂の商人高木善助は「此山の難所なる事、三太郎の中にも第一の所にて、岩石多く歩みがたし、別して下り坂は足の踏処ふみどもなく、誠に難処なり」(薩陽往返記事)と記し、同元年ここを通った頼山陽は「踰綱木嶺」と題して詩を作っている。湯浦側からは上り一六町、下り一四町ほどと記される(「万覚帳」芦北町誌)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の津奈木太郎峠の言及

【三太郎越】より

…熊本県八代市日奈久と水俣市との間にある鹿児島街道の赤松太郎峠,佐敷太郎(さしきたろう)峠,津奈木太郎峠の総称。九州山地西端,八代海に臨む難所として知られ,藩政時代薩摩藩の参勤交代路で,西南戦争の西郷軍もこの峠越えに難渋した。…

【津奈木[町]】より

…標高300m前後の山々が広く占め,海岸部はリアス海岸をなす。国道3号線,鹿児島本線が通じるが,東境にある津奈木太郎峠(現在はトンネルが開通)は赤松太郎峠,佐敷太郎峠とともに古くは〈三太郎越〉と呼ばれる有名な難所であった。農漁業を基幹とし,農業ではアマナツのほかに畜産も盛んである。…

※「津奈木太郎峠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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