朝日日本歴史人物事典 「浜松歌国」の解説
浜松歌国
生年:安永5(1776)
江戸後期,上方の歌舞伎狂言・読本作者,考証家。浜松氏助,浜松八重垣(牆)とも。通称布屋清兵衛。別号颯々亭南水ほか。大坂の木綿問屋の家に生まれた。歌舞伎狂言作者としては寛政11(1799)年大坂中の芝居の番付に初めてその名がみえて以後大坂で活躍するが,二枚目作者に留まった。金沢竜玉こと3代目中村歌右衛門と提携して,竜玉名での脚本を助作するのみならず,『芝翫帖』(1814)など歌右衛門の演劇書をも編んだ。享和・文化年間(1801~18)はもっぱら読本や随筆に携わり,その後も大坂の風俗考証『摂陽奇観』(1833)や演劇の考証随筆『南水漫遊』などの執筆に力を注いだ。<参考文献>船越政一郎『浜松歌国伝』(浪速叢書),『新群書類従』2巻
(上野典子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報