浪花座(読み)なにわざ

改訂新版 世界大百科事典 「浪花座」の意味・わかりやすい解説

浪花座 (なにわざ)

大阪市南区(現,中央区)道頓堀にあった劇場。1652年(承応1)の道頓堀芝居名代御定の折の松本名左衛門芝居に始まる。芝居街の西端にあったので大西芝居と呼ばれた。元禄期(1688-1704)には嵐三右衛門,沢村長十郎,荻野八重桐らが座本として活躍。大坂の大芝居劇場として角座,中座とともに長く隆盛を誇るが,近世後期には後退し中芝居の劇場となる。天保(1830-44)末年から筑後芝居と改称,一時盛りかえす。1876年に焼失,再建落成して戎座(えびすざ)と改名。明治初年は中村宗十郎の出演が多く,82年以降演劇改良の牙城となり,85年には《ベニス商人》の翻案《何桜彼桜銭世中(さくらどきぜにのよのなか)》を上演する。89年から会社組織となり浪花座と改称。1919年松竹合名社の所有に帰する。長く初世中村鴈治郎の拠点で,同年10月の《藤十郎の恋》の初演大当りであった。20年中座改築後は中心勢力より後退。45年米軍空襲で焼失。戦後再建されたが,もっぱら映画館,演芸場として使われ,2002年に閉館
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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