改訂新版 世界大百科事典 「浴風会」の意味・わかりやすい解説
浴風会 (よくふうかい)
1923年9月1日の関東大震災の罹災者に対する下賜金および義援金の残金を基本財源として,25年に設立された財団法人で,震災によって扶養者を失った自活能力のない老人の収容保護を目的としていた。その後,震災とはかかわりのない老人も保護の対象とし,今日に至っている。浴風会は開設当初,日本の養老施設のモデルとなることを意図していたため,当時一般に行われていた集団処遇と同時に老人24人に対し寮母1人を配置した家庭寮による処遇を行ったり,病弱老人のために病棟を設けたりした。また調査研究も盛んに行い,日本の老年医学の発展に大きく寄与した。さらに42年に設立された養老事業関係者の全国組織である全国養老事業協会の事務局も浴風会が引き受け,雑誌《養老事業》の発行や研究会の開催なども行った。52年に社会福祉法人に改組。所在地は東京都杉並区。かつては横浜市内に分院をもっていたが,43年に閉鎖された。
執筆者:岡本 多喜子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報