日本大百科全書(ニッポニカ) 「海外移住の自由」の意味・わかりやすい解説
海外移住の自由
かいがいいじゅうのじゆう
日本国憲法の定める人身の自由の一つ(憲法22条2項)。住所を外国に設けるため、または一時的な目的(旅行など)のために国外(海外)に移る自由をいい、広義の「居住・移転の自由」に含まれるが、現行憲法では項を改めて、これを規定している。しかし、外国への移住は、その外国法によって制限されることがある。また、外国旅行に行く場合、外務大臣の発給する旅券を所持しなければならないことになっているが、その発給が拒否されることがある(旅券法13条)。「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」(同条1項5号)に対し拒否しうるという規定が、政府の政治的考慮によって外国旅行が制限される結果になるとして、その違憲性がかつて争われたことがある(最高裁は合憲と判断)。なお、この自由には、外国人が日本へ入国する自由は含まれない。
[池田政章]