日本大百科全書(ニッポニカ) 「海陸風前線」の意味・わかりやすい解説
海陸風前線
かいりくふうぜんせん
海風前線と陸風前線のこと。局地的な不連続線の一種。海陸風の吹く海岸地帯で日中に海風が内陸に侵入すると、その先端部で内陸の暖かい気塊との間に密度の差の大きい不連続線ができるのが海風前線で、逆に夜に陸風が海上に流れ出すと、その先端部で海上の暖かい気塊との間にできるのが陸風前線である。海風による局地循環は高さが数百から1000メートル、陸風による局地循環は高さが400メートルくらいにまで達し、海陸風前線付近では、上昇気流や下降気流があって航空機の着陸時の障害となることがある。また、大気汚染物質がたまりやすく、スモッグ前線ともなりやすい。
[饒村 曜]